戦争遺跡の役割考える 松本で集い

松本地域に残る戦争遺跡の役割を再考する集い「戦後80年、戦争の事実をどう伝えるか」が15日、松本市勤労者福祉センター(中央4)で開かれた。教員やOBら有志でつくる県歴史教育者協議会が主催。今年で戦後80年を迎え戦争体験者が減り続ける中、証言者に代わって史実を伝える戦争遺跡の保存や活用、課題を考えようと約30人が参加した。
松本第一高校の非常勤講師で、戦争遺跡保存全国ネットワーク運営委員の平川豊志さん(71)=安曇野市穂高=が講演した。平川さんは陸軍歩兵第五十連隊兵営跡の赤レンガ倉庫や今井の万歳塚など、現存する市内の戦争遺跡を紹介する一方、県憲兵隊松本分隊の官舎や陸軍松本飛行場の大型コンクリート基礎など既に失われた場所にも言及。「戦争遺跡とは何か」と問い掛け、物言わぬ戦争遺跡から戦争の痛みを感じ取る想像力の重要性や、戦争遺跡に学び平和を考える必要性を説いていた。
市内では今年8月、「戦争遺跡保存全国シンポジウム信州まつもと大会」(同ネットワーク、実行委員会主催)の開催が予定される。協議会の佐藤喜久雄会長(77)は「新たに見つかる戦争遺跡もあるが失われるケースも少なくない。戦争の真実を伝えるためにも遺跡の役割が今後一層見直されるように」と機運の高まりを期待した。