松本マラソンで不正会計 事務局の市職員赤字隠す 今年の大会中止へ

松本市などでつくる松本マラソン実行委員会(委員長・臥雲義尚市長)は23日、同市美須々のエア・ウォーターアリーナ松本で開いた総会で、本来は赤字となっていた一昨年の2023大会の収支決算を隠すために不正な会計処理を行っていたことを明らかにした。昨年の2024大会も大幅な赤字となり、累積額が4380万円余りとなったことも報告された。赤字分は市の負担金として処理する方針で、臥雲市長は不信の払拭と大会運営の検証が欠かせないとして、今年の大会を中止する意向を示した。
事務局を務めた市職員の説明によると、エントリー数の減少による参加料収入の不足などで、2023大会の終了後に3915万円の赤字が判明。大会運営の受託者に委託料を減額してもらったものの、1520万円が赤字分として残った。
「赤字決算とすると大会イメージの低下を招き、継続の可否に影響を及ぼす」と判断した担当職員が、翌年の2024大会の収入から補てんする方針を決め、受託者に2023大会の委託料の減額を盛った変更契約の締結と、2024年度に改めて請求してほしいと依頼。不足分を会計書類に記載しない不正な会計処理を行って、2023大会の収支決算を74万円余りの黒字とした。
2023大会は出場者の目標9000人に対してエントリーが4911人だった。目標を6000人に引き下げた2024大会も5171人のエントリーにとどまり、2024大会は2860万円余りの赤字となった。事務局は、大会運営が軌道に乗れば翌年度以降の収入で対応できるとした担当職員の判断は「極めて甘かった」と陳謝した。
市役所で開かれた同日の定例記者会見で、臥雲市長は「大勢の皆さまの期待と信頼を裏切る結果になったことに心からおわびを申し上げる」と頭を下げ、自らの給与を減額する意向を表明した。
同日の市議会経済文教委員協議会でも協議された。今年の大会の市負担金1億円余りを盛った本年度当初予算を議決していることから、市議全員が出席する議員協議会を開き、開催可否について議論することを決めた。議会の承認を得て中止が正式決定する。
松本マラソンは平成29(2017)年に始まった。昨年までの全8回中、30年は台風、令和2年は新型コロナウイルス感染症、3年は豪雨でそれぞれ中止となっており、実際に開催したのは5回となっている。