連載・特集

2025.4.23 みすず野

 大型連休が近づくこの時期「いつもそわそわする」と作家の荻原浩さんはいう。休みがとれるか、天候は大丈夫かと。海外旅行やレジャーに出かけるわけではない。「四月末から五月上旬にかけては、野菜苗の定植シーズンなのだ」(『極小農園日記』毎日文庫)◆キュウリやトマト、ナスといった夏野菜は毎年苗から育てている。「定植というのはようするにポットの苗を土に植え替えるだけだから、それほど手間がかかるわけじゃない。問題はその前段階。定植をする前には土づくりが必要なのだ」と◆その気になれば2日、無理すれば1日でできる。でもその1日、2日がままならない。大型連休の頃は、印刷所が休みになるから締め切りが早くなる。自由業の悩みもあると語る◆ホームセンターなどの店頭には、さまざまな野菜の苗が並ぶ。連休に合わせて定植を計画している人も多いだろう。これに水田の作業が加われば休む間もなさそうだ。それでも家族と過ごす時間はほしい。荻原さんは出かける朝、苗にたっぷり水をやり「後ろ髪を引かれながら出かけることになる」とか。今年も休みの方が忙しいという数日間になるのかも。