上高地の人出は戻ったが...国道158号大渋滞で観光客困惑
松本市の山岳景勝地・上高地(安曇)の観光が新型コロナウイルス禍から回復した一方で、市内と上高地を結ぶ国道158号で大渋滞が発生している。8月には10キロ以上の渋滞にはまった挙げ句に駐車場に入れず、諦めて帰る観光客が続出。地元住民の生活にも支障を来している。
国道158号から上高地に延びる県道上高地公園線はマイカー規制が行われており、車で訪れる観光客は手前の沢渡駐車場でバスやタクシーに乗り換える必要がある。沢渡には市営と民営合わせて約2000台分の駐車場があるが、状況をリアルタイムで把握・情報発信するシステムがない。
8月11日の「山の日」は午前6時には市営駐車場が満車になり、民営駐車場も間もなく満車になった。しかし、状況を知らない観光客の車の流入が続き、沢渡駐車場を先頭に松本市街地寄りにある道の駅・風穴の里の先まで12.5キロの大渋滞となった。
アルピコ交通上高地線の新島々駅と沢渡駐車場を結ぶ路線バスは、定刻から2時間ほど遅れて着いたという。駐車場に入れて上高地に行けた観光客も、帰りのシャトルバスは2~3時間待ちとなった。
市営駐車場の指定管理者となっている一般財団法人・ピアーズさわんどの木下薫事務局長は「『来てとばかり言っておいて、駐車場がないとはどういうことだ』とおしかりを受けた」と嘆く。3年前から一人で駐車場の状況を確認してネットで発信しているが、一般にはほとんど知られていない。
風穴の里では長時間の渋滞の末に諦めて戻ってきた観光客から「これから松本でどこか行ける所はないか」と尋ねられることが頻繁にある。塩原忍支配人は「新島々駅あたりで満車情報や渋滞情報を発信できないか」と語る。
道幅が狭くカーブも多い国道158号で大渋滞が発生すれば、緊急車両の通行にも支障が出る。住民生活への影響は甚大だ。
情報発信には市と国道を管理する県松本建設事務所、民間が連携して取り組む必要がある。市アルプスリゾート整備本部の宮澤憲治次長は「状況は理解している。何らかの対策を考えていきたい」と話している。