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松本市、民生委員の業務範囲を再考 持続可能な組織目指す

仲間と企画した講座で高齢者とウオーキングをする民生委員の臼井さん(左)。協力してさまざまな取り組みを進めている

 松本市は、12月に全国一斉の改選期を迎える民生委員のあり方について見直しを進めている。高齢者の見守りなど地域福祉に欠かせない役割を担う民生委員は高齢化の進行で重要性が増すと同時に、業務量も増えており、新たな引き受け手の確保が困難な状況となっている。「業務の範囲」「活動費」「町会推薦による選出方法」の3点を検討し、持続可能な形を探る。

 城東地区で昨年末に開かれた、市長と市民が意見交換する「ジモトで座談会」で、臥雲義尚市長が地元町会長や民生委員との懇談の中で見直しを明らかにした。地域からは「民生委員の業務はすでにボランティアの域を超えている。忙しい現役世代には頼めない」「町会加入者が減っている中で町会選出を続けるのは限界。抜本的な見直しを」などの要望が相次いだ。
 市福祉政策課によると、現在の市の民生委員は541人(定数547人)。主に65歳以上の独居や高齢者のみの世帯の見守りを担っている。交通、通信費などの活動費は年額12万400円で、国が半分負担し残り半分を市が上乗せしている。近隣市と比べると、塩尻市が16万8200円(ほか交通費など)、安曇野市が14万6600円で、いずれも松本市より多い。なり手不足に頭を悩ませているのは各市同じで、塩尻市は平成28(2016)年度と令和2、6年度に活動費を上乗せしている。
 松本市は現役の民生委員の意見も聞いて検討を進め、次回改選時にまずは業務範囲を見直す方針。その後に活動費と町会推薦の仕組みの見直しに取りかかる。民生委員になって8年目を迎える第三地区民生委員・児童委員協議会の臼井裕子会長(70)は「民生委員だけで頑張るのではなく、周囲の協力が大切。一人に担わせない体制づくりが欠かせない」と実感を話している。