麻績・協力隊員の三田さん 村に工房 染色作家に

麻績村地域おこし協力隊伝統工芸班の隊員の三田桃子さん(31)が、本年度末の「卒業」後、染色作家として村内で独立する。野田沢の自宅近くにある民家跡地を借り、今後3~5年掛けて染色工房を手作りする計画だ。三田さんは、昨年に専用の藍がめを導入するなど、麻績での新たな一歩を踏み出そうと準備を進めている。
三田さんが作家活動で当面の軸と考えているテーマは藍染めと柿渋染だ。藍染めは藍がめで藍を自家発酵させて染めるため、昨年6月に容量約270リットルの藍がめを技術研修で訪れた徳島県で買い求めた。柿渋染は以前から興味を抱いていたテーマといい、村内一帯で渋柿が収穫されず残っているという地域課題の解決策も兼ねて取り組む。柿渋特有の撥水効果や収斂作用を生かした丈夫なエプロンやかばんといった作品を手掛けたいという。工房予定地は母屋が解体済みの敷地で、一帯は竹林や雑草が伸びて荒れているため、伐採・除草を行いながら工房の建設を進める。
三田さんは兵庫県宝塚市出身。関西外国語大学(大阪府)を卒業後、国際物流系の会社へ入社したが、ある田舎暮らしの体験を通じ、「農山村での地に足が着いた暮らし」と「衣食住を自分で作る暮らし」に憧れ、令和4年度に隊員となった。
自宅や工房予定地がある野田沢は、筑北村本城地域まで見通せるほど眺望が良好で、小さな畑もある。三田さんは「衣食住を自分でまかない、『生きている実感』を得られたら」と願っている。