森のおうちお話の会 朗読会の自主公演に幕 8日に集大成のステージ

安曇野市穂高有明の絵本美術館・森のおうちを拠点とする「森のおうちお話の会」は、「お話コンサート」と銘打ち平成11(1999)年の発足以来続けてきた自主的な公演活動を終える。8日に森のおうちで開く「恵風にのせて」で一区切りとする。会員の高齢化が理由で、主宰者の同館名誉館長・酒井倫子さん(86)は「全員が最高の状態でそろって臨む締めの舞台としたい」とし、会員らと当日に向け気持ちを高めている。
森のおうちが後援する年3回の定期公演や、各地からの依頼に応じた開催でファンを集めてきた。8日は、酒井さんのほか朗読を愛好する地元50~80代の会員5人が「お話宝石箱」と題し、一人ずつ発表するステージを用意した。今泉ヤス子さん(80)=豊科=は、お話の会が活動初期に演出者に迎えた俳優、故・草薙幸二郎さんから演技指導を受けた日本昔話「きつね女房」を演目に選んだ。「自然な目つきや動作を大切に、言葉に魂を乗せてお話を表現するという、自分たちの持ち味を生み出すきっかけとなった作品。集大成として披露したい」と張り切る。
お話の会は、酒井さんが講師を務めたカルチャー教室の受講生と発足。酒井さんが平成6年に開館した森のおうちの運営のよりどころともしてきた宮沢賢治作品の世界観を、東日本大震災の被災地など地元内外で発信してきた。加えて「大きな歴史の一つ」には、江戸時代の農民一揆で処刑された少女・おしゅんの物語を題材にした朗読会(安曇野市貞享義民記念館主催)がある。10年と継続してきたが、令和5年に終止符を打った。
酒井さんは「依頼があれば都度、会員と参加を検討したい」としつつ「これまで支えてくださった方々への感謝を表すべく、自主活動に一つのけじめをつけたい」と話している。
午後1時半開演。問い合わせは森のおうち(電話0263・83・5670)へ。