塩尻商工会議所の創業相談が増加 昨年度96件 副業や生きがいづくり 目的多様化

新しく事業を始める「創業」の相談が、塩尻商工会議所で増加傾向となっている。直近の受け付け件数は新型コロナウイルス禍前を上回る状態だ。創業の目的も生計を立てるためだけでなく、副業や生きがいづくりなど多様になっている。官民の支援制度が充実するなど、創業のハードルが以前より下がっていることが背景にある。
塩尻商議所への相談件数は、近年では平成28(2016)年が88件で最多だったが、新型コロナ禍で激減した。終息後は回復し、昨年度は96件にまで増えた。本年度も同等の相談があり、同商議所が主催する、創業の基礎が学べる講座「創業スクール」の参加者は前年を上回った。
相談、スクール参加者の構成は、年齢層が20~50代と幅広く、以前よりシニア層が多い。男女比は半々で女性の相談が増えている。創業の目的も「定年退職後のセカンドライフのために」「趣味を生かしたい」など多彩だ。相談後の創業例はサービス業、小売業が中心となっている。
経済団体のほか行政や金融機関による支援セミナーが充実し、創業に関する情報に触れる機会が増えたこともあってか、相談前によく準備を行い、ビジョンや事業計画はやりたいことが明確な相談者が多いという。ただ、塩尻商議所中小企業相談所の斉藤貴子所長は「創業のハードルは下がっても事業の難しさは変わらない。事業を継続し、夢をかなえるためにも収支の管理はシビアに」と助言している。