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松本市街地の専門店、今が正念場 「まちゼミ」商店主らが奮闘

実践を交えてファンデーションの付け方などを学ぶぬの源化粧品の講座

 松本市街地で、商店主らからプロの技術や知識を学ぶ「松本まちなかゼミナール(まちゼミ)」(松本商工会議所主催)が開かれている。今月末に松本パルコ、3月末には井上本店が相次ぎ閉店を控える中、専門店の魅力や存在感を伝え、まちを活性化する好機となり、各店が趣向を凝らして参加者を楽しませている。

 大手2のぬの源化粧品は初参加で、ファンデーションの効果や付け方のこつを紹介している。担当の松井綾音さん(36)は「小さな店だからこそ、人との関わりを大事にしたい」と話す。大型店と合わせて訪れる遠方の顧客もいるため閉店の影響を心配しつつ、2店舗に代わる対面接客のニーズを前向きに捉える。「来てもらわないと良さが伝わらない。(まちゼミで)店に親しみを感じてほしい」と期待する。
 初回から参加する中央2のジュエリーサロン鶴は3講座を展開する。「手作りリング体験」は自分の指に合わせてサイズ調整し、仕上げ作業を楽しむ人気の講座。講師を務める鶴木藍さん(39)は、松本は何げなく歩いて商店街を回る環境ではなく「各店で目的を持って来ていただける工夫が必要」と言い、まちゼミは敷居の高い店舗でも足を運ぶきっかけになるとする。鶴木健社長は「モノよりコトが重視される中、手間がかかっても体験などの提供は専門店としてやるべきこと」と話している。
 平成25(2013)年の松本でのまちゼミ立ち上げから携わる木下製印社(大手3)の木下匡晃社長(61)は、まちゼミが「まちに人を呼び戻す手段として有効」とし、大型店の閉店を前にした今こそ意義があると語る。
 特に初めて来店する参加者とのコミュニケーションを心掛け、「店主を知ってもらい、何かあったときに任せられると信用してもらうことが重要」と力を込める。各店がそれぞれ専門分野を担っており「まちや店の面白さとともに、商店街が幅広く対応できる場所だということを再認識してほしい」と願っている。
 16回目となる今年のまちゼミは3月2日まで、19店が26講座を設けている。