今冬の松本の最深積雪1センチ 寒気運ぶ西風を北アが遮断

気象庁の観測によると、今冬(昨年12月~2月)の松本(松本市沢村)は最深積雪が1センチにとどまっている。平年を大きく下回る状況で、上空西側に高気圧、東側に低気圧が位置する冬型の気圧配置の日が多いことや、本州の南を通過して雪を降らせる南岸低気圧が少ないことが主な要因だ。今月末までの間に雪が降らなければ、明治31(1898)年の統計開始以降、最も積雪の少ない冬となる。
長野地方気象台(長野市)によると、今年は寒気の及ぶ地域が広く、北から西日本に流れ込み、西風で県内に入るケースが多い。気象情報官の松沢裕次さん(59)は「(標高3000メートル級の高山が連なる)北アルプスが風を遮るため、山から離れた風下の松本に雪が届かない」と解説する。北アに近い県北部の山沿いや県の西側が雪となり、小谷や白馬の降雪は平年を上回る。
松本の積雪は、昨年12月が平年より4センチ少ない1センチ。1月は平年より18センチ少ない1センチだった。2月は8日に積雪1センチを観測した。これまで最も積雪の少なかったのは平成30(2018)年12月~31年2月で3センチ。次いで令和2年12月~3年2月の5センチとなる。松本の平均気温は上昇しており、雪にならず雨が増えた。近年の雪の少なさは「温暖化も要因の一つ」(同気象台)といえる。
降雪量の平均的な変化をみると、松本は10年で8センチ減少した。野沢温泉は10年で109センチ、長野では11センチ減った。ただし、松沢さんは、松本の今年の雪が少ない状況は温暖化の影響よりも「寒気の入り方、西風が多いという要因が強い」と指摘する。
松本では雪が少ないことによって空気の乾燥した状態が続き、火の取り扱いや体調管理に注意が必要となる。3月は冬型の気圧配置が続かない見込みで、南岸低気圧の影響で雪となる可能性がある。同気象台では着雪や路面凍結などによる交通障害に注意を呼び掛けている。