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松本城の外国語案内1万人超え 昨年まとめ30年間で初 需要急拡大 会員確保図る

会員募集説明会に参加し、活動内容に理解を深める人たち

 松本市の国宝松本城を拠点に訪日観光客を外国語で案内するボランティアグループ「アルプス善意通訳協会(ALSA)」の昨年の案内実績が、平成4(1992)年の設立以来初めて1万人を超えた。インバウンド(訪日外国人客)の伸長に伴い、ガイドの需要が急激に高まっているという。さらなる需要拡大も予想される中、16日には新規の会員募集説明会が市内で開かれ、笑顔とおもてなしの心を広げようと関係者が士気を高めた。

 会員が案内した来訪者数は、新型コロナウイルス禍で活動休止期間を挟んだ令和2~4年に落ち込んだものの、同5年に劇的に回復し、昨年はコロナ禍前の水準を上回って1万人の大台に乗った。設立当初の案内が年数百人だったことを考えると、約30年間で実に20倍に増えたことになる。
 ALSAは長野冬季五輪の開催に向けたボランティアガイドとして平成4年に活動を開始。会員は約150人を数え、世代は10~80代と幅広い。松本城公園の専用ステーションに待機してガイドを随時受け付けるほか予約にも応じ、英語、中国語、フランス語、スペイン語など対応言語もさまざまだ。
 16日の会員募集説明会では昨年入会した会社員の鳥羽定徳さん(32)が「勇気を振り絞って踏み出した先に豊かで実りある経験があった」とやりがいを紹介した。会場には30人を超える参加者が訪れ、安曇野市の教員・加瀬由真さん(34)は「海外生活の経験があるので語学を生かしたい」と話していた。
 協会の中田和子理事長は「発足当初は想像もできなかった需要がある」とした上で「大切なことはもてなしの心。みんなでスマイルに」と新年度への期待を込めていた。