政治・経済

松本市の生活保護受給が減少傾向 1500世帯切る

 松本市の生活保護受給世帯が減少傾向にある。高齢化に伴う人口減に、人手不足を受けた売り手市場の拡大などが重なり、昨年12月末現在は本年度当初(昨年4月)に比べて57世帯減の1495世帯となった。ここ5年間で初めて1500世帯を割り込んだ。

 昨年12月末の受給世帯を類型別にみると、「高齢者」が814世帯で本年度当初比34世帯減、「傷病・障がい者」が519世帯で同3世帯減。「母子」は26世帯で同3世帯増だが、それ以外の全ての世帯を含む「その他」は136世帯で、同23世帯減となった。
 市生活福祉課によると、一時的な失業で生活保護を受けることになった人などを含む「その他」の減少は、大阪・関西万博の工事で住み込みの仕事を求めて転出した人が多かったことが一因という。高齢世帯減少の最大要因は死亡だが、新型コロナウイルス感染症禍が明け、親族などが引き取る例が増えている。一定程度の資金を蓄え、一時的に生活保護受給世帯でなくなる人もいる。
 昨年7月に生活保護不正受給による詐欺の疑いで里山辺の男性が逮捕された事件を契機に、市の調査で発覚した「指導指示違反」で受給停止になる例も増えているという。
 市内の受給世帯は減少傾向なものの、国が発表した昨年10月の全国の状況をみると、生活保護の申請件数は2万1561件で前年同月比3.2%増えている。前の年を上回るのは4カ月連続で、物価高や、なかなか進まない賃金上昇を背景に厳しい状況が続く。
 年度末は比較的相談が増える時期で、同課は「困ったら遠慮なく相談してほしい。生活再建に向け一緒に考えていきたい」と呼び掛けている。