2025.2.7 みすず野
今年は戦後80年、昭和100年だと、年初からあれこれ取り上げられている。昭和が終わった日からしばらくは取材に追われた。市役所の書類の元号変更作業や、平成最初の日の新生児誕生などに駆け回った◆平成が終わろうとする年の4月評論家の坪内祐三さんは「平成の終わりに思うこと」(『最後の人声天語』文春新書)で、昭和一桁生まれには「八十の壁」があったと書く。「山口昌男さんも常盤新平さんも野坂昭如さんも」それくらいの年齢で倒れた◆続く昭和二桁生まれには「七十五の壁」があり、団塊の世代には「七十の壁」その下の世代は「六十五の壁」。坪内さん世代は「六十の壁」で、来月61歳になるので恐怖だと記す。平成の30年はその前の30年に比べ、とても短い感じがするともいう。同感だ◆令和の時代、どのような著名人たちが時代とともに亡くなっていくのか、それを見てみたいが「平成と同じだけその時代が続いたとしたら私は九十歳を越えている」と。「だがその時、この国が今より良くなっているとは思えない」と結んだ。次の年が明けて間もなく、坪内さんは急逝した。この国は今、その予想どおりのようだ。