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オール奈川で滞在型観光 地域住民が協議会設立 自然生かし外国人誘客へ

奈川地区のさまざまな団体、事業所が集まったキックオフミーティング

 松本市奈川地区の住民たちが、伝統食材と豊かな自然を生かした滞在型観光で地域に外国人観光客を呼び込もうと「奈川アグリツーリズム協議会」を設立した。休業中の旅館「鳥屋沢」をそば打ちや収穫体験ができる「農泊の宿」に改装して拠点にし、奈川の魅力を発信する。28日夜に奈川文化センター夢の森で開かれたキックオフミーティングには、町会や市、宿泊、飲食、小売りなど26団体、事業所の関係者が集まり「オール奈川」で取り組むことを確認した。
 中核となるのは過疎化解消に向け昨年11月に設立された「株式会社奈川未来づくり」で、田中浩二社長が協議会代表に就いた。県信連のファンドの融資と農林水産省の「農山漁村振興交付金」(2年間)を活用し▽そばと並ぶ新たな名物料理の創出▽モニターツアーによる食と遊びの体験プログラムづくり▽英語・中国語対応のプロモーション活動▽宿泊施設のオンライン予約といったDXを推進する―などの計画を承認した。
 交付金の申請は2月に行い、順調にいけば5月に許可が下りる。田中代表は市民タイムスの取材に、夏の間に旅館の改装工事をして「秋口には稼働したい。旅館を拠点に誘客を進めて雇用を創出したい」と見通しを話した。
 参加者からは「地域を挙げてインバウンドを受け入れるため高齢者も外国語を学んではどうか」「国内観光客へのアプローチも大切」「地域のみんなが共感できる仕組みにしてほしい」などの要望が出た。昨年1月にNPO法人あぐり奈川を設立し、キャベツやソバを栽培して農業による地域活性に取り組んできた田中代表は「農業と食に宿泊や観光も合わせ、アグリツーリズムで奈川を盛り上げていきたい」と話している。