守れ!地域の文化財 各地で防火訓練

26日の「第71回文化財防火デー」に合わせて各地で防火訓練が行われ、火災から文化財を守る意識を高めた。
国宝天守を擁する松本城(松本市)では、市職員らでつくる「松本城自衛消防隊」の約50人が参加した。乾小天守からの出火を想定し、初動訓練をした。火災検知器が作動し、天守の内部にいる職員から火災発生の知らせを受けると、管理事務所にいた職員が出動。救護所の開設訓練や天守3階の消火栓を使った放水訓練をして、発災後の対応を確認した。消火器の操作訓練もあり、防災設備会社の職員が操作方法を説明し、火元に見立てたパイロンめがけて放水した。
市松本城管理課の松岡由香課長は「訓練を重ね、大事な松本城を守りたい」と話していた。
国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されている南木曽町の妻籠宿では、宿場内の住民が初期消火の手順を確認した。土砂災害からの避難をテーマにした防災講演や外国人観光客の避難誘導も想定に入れた訓練もあり、幅広い視点から防災意識を高めた。
妻籠宿には江戸末期から戦前までの古い木造建築が並び、住民組織・妻籠を愛する会の主催で毎年、文化財防火デー当日に訓練をしている。愛する会の藤原義則理事長は「妻籠には木造家屋が連なり、火災を最小限に食い止めることが求められる。予期せぬ事故が一番怖い。対応できるように日ごろの訓練で備えたい」と呼び掛けていた。