能登キリコ 故郷思い制作 木曽の田端さん 町役場に模型 地震受け

木曽町新開の田端重三さん(76)が、元日の能登半島地震で被災した故郷を思い、能登地方の「能登キリコ祭り」に登場する山車に似た「キリコ」の縮尺模型を制作した。29日、町役場の正面玄関ロビーに展示し、田端さんは「木曽の皆さんも能登の災害を忘れないでほしい」と訴えている。8月16日まで。
能登キリコ祭りは奥能登の各地区で7~10月に行われ、直方体の巨大な灯籠に担ぎ棒が付いた「キリコ」が地域を練る。漆や金箔が使われるキリコは豪華絢爛で、最大15㍍を超すものもあるという。地区によって多少の違いはあるが、上部に切妻屋根を備え、ちょうちんなどが華やかに飾られる。
模型は実物の5分の1の大きさ(高さ約2・3㍍)で、ラップの芯や木材などを利用した。正面の灯籠部分には故郷へのエールを込めて「前進」、相田みつをさんの作品から引用した言葉「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」と記した。ゴムボールを使ったちょうちんなどを飾り、ライトアップできるようにしている。
運送の仕事を通じて長野県を知り、気に入って移住。駒ケ根市を経て6年前から木曽町で暮らす。4月下旬に故郷の珠洲市を訪ねた際に被災状況を目の当たりにして、災害が風化しないようにと展示を決めた。「祭りは15歳まで過ごした故郷の思い出。多くの皆さんに足を運んでもらい、少しでも被災地に心を寄せてもらえたら」と願っている。
午前8時半~午後5時15分。被災地への寄付を町保健福祉課で受け付けている。