2024.07.30 みすず野
これぞ夏の朝、というようだった昨日、通勤時間は先週よりずいぶん短くて済んだ。企業などの夏休みが始まったのだろう。連日の猛暑だが、今年の夏をそれぞれに楽しむ人たちが、この青空の下であちこちへ向かっている◆「夏はアイスティーが美味しい」と、南佐久郡川上村の山里に移り住み、自然作家、家具製作家などとして、自給自足的な生活を実践していた田渕義雄さん(1944~2020)が、『寒山の森のエッセイ』(ファイヤーサイド)に記している◆朝、ガラスの水差しに控えめな量の茶葉と水を入れ、日差しの下に置く。夕方に茶葉をこして冷蔵庫へ。米国北カリフォルニアのレストランの庭で見て覚えたという。渋味のないすっきりとした味になるそうで、ティーバッグでもできる。同じ方法でアイスコーヒーも◆夏休みには毎年キャンプに出かけていた頃、田渕さんの文章から数々のことを教えられた。同書は駒ケ根市でまきストーブなどの販売をしている同社が遺稿集として発刊した。47編を収める。その言葉は決して声高ではなく、穏やかに語られている。「人の価値観も幸せも、もっともっと多様であれ」と。