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充実の社員食堂で仕事環境アップ 各企業が工夫凝らす

安曇野産のタマネギをふんだんに使ったインドカレーをPRするシェフのダカルさん(ハーモニック・ドライブ・システムズ)

 中信地方で社員食堂の充実に取り組む企業が増えている。多くの業種で人手不足が深刻になる中、働きやすい環境を整えることで人材確保につなげたいと考える企業が多い。提供するメニューの充実はもちろん、社員食堂を健康増進や社員同士の交流の場にも位置づけた、新しい形の食堂が登場している。

 精密減速機など製造のハーモニック・ドライブ・システムズは、安曇野市にある工場の社員食堂で、地元食材を使った料理に力を入れる。今月は旬を迎えたタマネギをふんだんに使ったインドカレーを提供。食堂運営を委託する事業者に所属する、ネパール出身のシェフ・ダカルさんが工場に足を運び仕込みを行ったほか、楽しい時間を過ごしてもらいたいと、昼食時には伝統衣装姿のダカルさんが笛を吹きながら社員を迎えるなど「エンタメ要素」にもこだわった。
 レトルト食品製造のセントラルパック(松本市笹賀)は約160人が働く本社工場で社員食堂を自社運営する。売りは管理栄養士の資格を持つ社員が考案している栄養バランスに優れた献立だ。取材にお邪魔した日の献立は、主菜が酢鶏、温冷二つの小鉢なども付く。工場で製造しているカレーも20種類ほどが日替わりで用意されており、ついつい食べ過ぎてしまう社員も多いとか。
 省力化機器製造のエーアイテック(松本市和田)は秋をめどに、社員食堂を設ける。食事をとる場だけでなく、社員同士のコミュニケーションスペースにすることを目指す。調理師が作る昼食を提供するほか、敷地に設けた菜園で採れた野菜や果物などの食材を置き、社員が自由に調理できる機能を持たせる。本やゲームも置く構想だ。
 業務以外では飲み会、社員旅行を通じて社員間の交流を図ってきたが、もともと出張する社員が多いほか、ライフスタイルの多様化で一堂に集まることが年々難しくなってきた。大林泰彦社長は「シェアハウスのキッチンをイメージ。社員食堂という場を使い、型にはまらない新しいコミュニケーションができたら」と話す。