松本市の待機児童増加 保育士の確保急務

松本市は来年度、保育園に入園できない0~2歳児の「待機児童」を減らすため、保育士の採用を強化する。共働き世帯の増加などで保育を希望する世帯が増えた一方、市の保育士数が減少していることで、現在の待機児童は前年度比32人増の86人になった。市は採用試験方法の見直しや採用枠の拡大などで待機児童解消に必要な保育士の確保に努める。
市内の待機児童は0~2歳児に限られている。特定の園への入園を希望する潜在的待機児童を含めた待機児童数は、統計のある平成30(2018)年度が117人で、令和2年度に151人まで増えた。その後、新型コロナウイルス禍によって家庭で育児ができる世帯が増えた影響などもあり、一時大幅に減ったが本年度は80人台まで増えた。一方で市の保育士数は平成28年度に507人いたが、昨年度は482人と減り、本年度は4月1日時点で471人となった。
市内の公立保育園で、園児の定員数が最も多い島内保育園は現在、179人が通っている。このうち0~2歳児は43人を預かる。空いている保育室はあるが、保育士が足りずに受け入れ園児は定員より100人ほど少ない。4月から1歳児の保育を受け持つ女性保育士(20)は「大変な時もあるが子供がかわいいのでやりがいはある」と話す。ただ、他の保育士からは「これ以上、保育士が減ると休みが取りづらくなるかも」と心配の声も出る。
市の保育士不足の理由には、少子化の影響などが考えられ、採用試験の応募人数減少につながっている。市保育課によると応募者は令和3年度は100人を超えていたが、昨年度は60人まで減少した。市は来年度に向けて10人程度、採用枠を広げる方針だ。一方で、市は正規採用の保育士拡充とともに、保育士資格を持ちながらも勤務していない「潜在保育士」の確保に努め、待機児童の解消を図っていく。