連載・特集

2024.6.28 みすず野

 「これより重大な発表を行います。メンマは中国語ではありません!第二次世界大戦後に日本で作られた和製漢語です」『青椒肉絲の絲、麻婆豆腐の麻』新井一二三著、筑摩書房)。命名者は台湾出身の中華食品商社創業者で、以前は支那竹と呼ばれていたものを、政治的な配慮から改名したそうだ◆そういえば、昔は支那竹と呼んでいた。明治時代に台湾から材料を輸入したのが始まりで、昭和43(1968)年に瓶詰のメンマとして発売され、大々的なテレビコマーシャルで知られるようになったという。この時、瓶詰として同時発売されたのが搾菜だった◆搾菜は中国でも20世紀に入って普及した比較的新しい食品で、豚肉と炒めるなどして広く使われている。メンマは材料が昔からある筍乾という乾物で「何が珍しいのか」という認識のまま、改めて流行はしていないとか。日本のラーメンなど、日本的なイメージを喚起する食品になっているそうで「何とも面白く感じられます」と◆ラーメンに載せたメンマはもちろんおいしい。これがないと物足りない。めぼしい酒のつまみがないときには、名脇役のようにいい味を出す。