2024.6.25 みすず野
甘藍、蕃茄、葱頭、窩苣、石刁柏、花椰菜、獅子蕃椒。これは何かというと全て西洋野菜。順番にキャベツ、トマト、タマネギ、レタス、アスパラガス、カリフラワー、ピーマンだという◆西洋野菜とは南蛮渡来の野菜のことで、こんな難しい書き方をしたのは、中国語の表示をそのまま取り入れたからだと。でも呼び方は和名で、キャベツはたまな、トマトは唐がき、レタスはちしゃ、アスパラガスは松葉うど、ピーマンは西洋唐がらしなど◆江戸時代末まで野菜の大部分を占めていた日本野菜と中国、東南アジア渡来の東洋野菜を区別して、江戸時代半ばころから徐々に、明治の開国を境に西洋諸国から大挙してきたものを西洋野菜と呼んだという。しかし、実は外来の野菜は全て、渡来のものなら中国からきたハクサイでもそう呼ばれていたと。食文化史の小菅桂子さん(1933~2005)の『にっぽん洋食物語大全』(ちくま文庫)で知り驚いた◆農業関係者には知られた話だろうか。庭先のわずかな場所にトマトとピーマンの苗を植えた。勝手に生えたアスパラガスも。「蕃茄」「獅子蕃椒」「石刁柏」と書いた名札を立ててみようか。