まち・手仕事の魅力実感 「工芸の五月」多彩な企画

松本市で開催中の月間イベント「工芸の五月」の一環で11日、実行委員会主催の二つの企画が始まった。工芸や建築、湧水に着目してまち歩きを楽しむ「建築家とめぐる城下町みずのタイムトラベル」と、「用の美」とは異なる鑑賞用の工芸作品を取り上げる展示会「異形の宴」で、手仕事や足元のまちの魅力を紹介している。
恒例のまち歩きには市民ら15人が参加し、昨年の東町に続く城下町の親町シリーズとして中町を中心に枝町や小路も巡った。建築家の案内で、通りを基準にした江戸時代の町割りや、防衛のため道路の交差をずらした「食い違い」などを確認。大火を経て建てられ、中町を特色づける蔵造り建築についても町家の内部を見学しながら理解を深めた。
染色工芸家・三代澤本寿さん(1909~2002)ら松本の民芸運動をけん引した人物とゆかりの深い町の一面や、一帯に豊富な湧水にも触れた。友人同士で参加した石芝3のパート・菊池ひろみさん(58)と渚3のパート・伊東美香さん(54)は「入ったことのない通りも歩き、専門家の話を聞きながら回るのはとても楽しい」と話していた。
19日まで計4回予定し、いずれも募集は締め切った。
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6回目を数える「異形の宴」は、市美術館(中央4)で19日まで開かれる。同館の特別展「ブラック・ジャック展」に合わせて「生命の像 イノチノカタチ」をテーマに、動物や架空の生き物を題材にした作品を集めた。
乾漆を手掛ける安曇野市の彫刻家・大曽根俊輔さんをはじめ県内外の5人が出品し、布と木、石、金属といったさまざまな素材を生かした37点が並ぶ。作家ごとに個性が表れ、ツバメがスキーをしていたり、母豚の背中が開いて子豚を収納できたりと、遊び心も感じられる。
伊藤博敏実行委員長は「動物の柔らかさを表現する素材の使い方やユーモアを楽しんでもらえれば」と話している。13日は休館。関連企画として、19日午前9時~正午に同館で厚紙を使ったお面作りワークショップが開かれる。参加無料で申し込み不要。