乗鞍のクビワコウモリ繁殖施設「バットハウス」 全面改修が完了
絶滅危惧種クビワコウモリの集団繁殖地が国内で唯一確認されている松本市の乗鞍高原に、保護団体が設けている繁殖施設「バットハウス」の全面改修が完了した。平成8(1996)年の建設から30年近くたち、老朽化していた。11日に披露の会があり、関係者や有志が施設を見学し、改修前と同じように子育てに利用されることを願った。
高さ12メートル、床面積24平方メートルの木造施設で、乗鞍観光センター隣に立つ。クビワコウモリは、壁や軒下に開けられた隙間「スリット」から内部に入り、子育てをする。昨年秋、繁殖期を終えてコウモリが去ったのを確認し、保護団体「クビワコウモリを守る会」が、壁板の全面張り替えなどを進めた。公益財団法人JAC環境動物保護財団(東京都)が改修費約630万円の全額を助成した。
乗鞍高原には毎年5月下旬から9月下旬にかけて250匹ほどの雌が飛来し、出産と子育てをする。宿泊施設などの天井裏や壁の隙間を利用するが、建物工事などの影響で繁殖場所を追われる例があり、安心して子育てができる環境としてバットハウスが設けられた。
守る会会長の山本輝正さん(65)は「乗鞍高原のバットハウスは全国的にクビワコウモリ保護の聖地、シンボル的な存在となっている。今回の改修で20年、30年と維持できるはず」と期待していた。