政治・経済

井上本店が営業終了へ 来年3月末 アイシティに集約

来年3月末に営業を終了する井上本店

 松本市を地盤とする老舗百貨店の井上は24日、松本駅前にある本店(深志2)の営業を来年3月末に終了すると発表した。合わせて百貨店機能を山形村の大型商業施設・アイシティ21に統合し、リニューアルを進める。本店の今後の利活用は未定なものの、学生服や人気ブランド、ギフト販売、外商といった一部機能は、中心市街地の別の場所に拠点を設けての維持を検討している。商都・松本からデパートが姿を消す。

 本店は昭和54(1979)年の営業開始から45年が経過し、配管などの老朽化が進んでいた。応急的な修繕だけでは快適な売り場の維持が難しくなったため、アイシティ21に経営資源を集中させる。営業終了と学生服の注文の時期が重なることから、新拠点は閉店から空白期間がなく、本店から徒歩圏内に設けることを検討する。本社は引き続き市内に置く。
 本店の土地と建物は井上が保有している。営業終了後の利活用については、不動産事業者などから複数の提案があり、同社が今後も活用、他社と共同開発といった可能性があるという。ただ、市民タイムスの取材に応じた同社の井上裕社長は「(現在のような)高層の建物での小売りは難しいと感じている」と話した。
 井上は来年、明治18(1885)年の創業から140周年を迎える。アイシティ21のリニューアルはその節目と、本店の営業終了に合わせて段階的に進める。新たなテナントを誘致するほか、近年売り上げが伸びているネット通販や宅配といった分野との連携、地域連携商品の拡充などによって売り場の充実を図る。井上社長は「物販だけでない多様なニーズに対応しつつ、従来のアイシティよりも百貨店のDNAを感じられるショッピングセンターを目指す」と話している。
 松本市の中心市街地では、松本パルコ(中央1)が来年2月末で閉店することが決まっている。

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