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天守と新緑背景に雅楽公演 松本城で3年ぶりに

天守と新緑を背景に優美な演奏や舞を披露した雅楽公演

 松本市の国宝松本城で10日、3年ぶりとなる雅楽公演が行われた。地元愛好者でつくる松本富貴雅楽会(荻須真尚会長)の26人が、新緑と天守を背景にみやびやかな音色を響かせ、市民や観光客約880人が堪能した。

 二の丸御殿跡に設けられた特設舞台で、音楽主体の管絃と舞を伴う舞楽で計5曲を披露した。風が強く、途中で出演者の帽子が飛ばされるハプニングもあったが、観客は、結婚式にも用いられる「平調越殿楽」や2匹の竜が楽しげに遊び戯れる様子を舞にしたと言われる「納曾利」の舞台に引き込まれ熱心に鑑賞した。松本市笹部の会社員・阿部真由美さんは「初めてだけれどとても楽しめた。独特のテンポに癒やされた」と喜んでいた。
 公演の合間には会を指導する元宮内庁式部職楽部主席楽長の岩波滋さん(84)=松本市出身=がそれぞれの演目について解説。岩波さんが東京で指導する日本雅楽会が公演に協力した。
 昭和の大修理の完工50周年を記念して平成17(2005)年に市内で岩波さんらによる雅楽演奏会が開かれ、翌年から本丸庭園で公演してきた。現在は5年に1回が基本だが、令和2年の開催予定が新型コロナウイルス感染症禍で延期となり前回の公演は4年に行われた。
 岩波さんは「新緑の中で雅楽を楽しめるのは松本ならでは。多くの人に親しんでほしい」と話していた。