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北ア・蝶ケ岳、前常念岳方面の三股登山口 混雑の兆し 遭難・路上駐車の増加懸念 中房線・一の沢線の一般車両通行止めで

満車状態の三股第1駐車場(26日朝)

 安曇野市内の北アルプス登山口にアクセスする主要3ルートのうち、燕岳方面の県道槍ケ岳矢村線(通称・中房線)と、常念岳方面の林道一の沢線はともに道路崩落で一般車両の通行止めが続く。こうした中、通常通りの林道烏川線の終点、蝶ケ岳・前常念岳方面の三股登山口(堀金烏川)では混雑の兆しが見え始め、地元関係者が路上駐車や遭難事故の増加を懸念している。

「いつも大型連休は燕岳に登っていたが、今年は通行止めのため変更した。この季節に蝶ケ岳に登るのは初めて」。28日朝、三股登山口に最も近い第1駐車場(80台収容)に車で着いた富山市の50代男性は話した。
 同日は約30台だったが26日朝は満車だった。山小屋・蝶ケ岳ヒュッテでは、大型連休までの予約件数が例年より2割ほど多いという。中村梢代表(30)は「じわじわと混雑し始めた。問い合わせも多い」と話す。
 25日から歩行者が通行可となった中房線では、定期バスと無料送迎車を乗り継いで中房登山口まで行けるが、先週末の客足は少なめ。市観光協会の担当者は「大型連休後半に期待したい。三股に登山客が集中して遭難事故や路駐が増えないか心配だ」と話す。
 蝶ケ岳ヒュッテによると、積雪量は近年では多めで、気温上昇による雪解けが早い。穴に落ちたように体が雪にはまる「踏み抜き」が非常に多い雪質で、冬装備が必要だという。蝶ケ岳や前常念岳では先週だけで3件の遭難事故が発生、計4人が滑落した。
 中村代表は「軽アイゼンでは無理。自分の体力、技術を過信せず、余裕を持って行動してほしい」と呼び掛ける。登山道を巡回する安曇野警察署の山岳遭難救助隊員も「積極的に声掛けしたい」とする。
 三股駐車場からあふれた車の路駐が増え、林道の通行の妨げとなる可能性も心配されている。市は駐車禁止のコーンを置くなどの対策を強化する考えだ。