車の抜け道利用多く住民困惑 「まつもと道路交通考」改良ファイル⑤山辺中近くの狭い市道

松本市里山辺の山辺中学校の北東側にある住宅地の狭い市道が、抜け道として多くの車に利用され、住民を悩ませている。乗用車同士のすれ違いも困難な道を中学生が通学路としていて危険なため、時間帯指定の通行規制を求める声も聞かれる。
問題の市道は、県道惣社岡田線の丁字路交差点から山辺中学校の東側に至る約340メートル区間=地図。道幅は側溝のふた部分も含めて4.3メートルほどしかなく、車道部分は3.2メートルで、西側路肩(幅約40センチ)に歩行者用のグリーンラインが施されている。
対向車が普通乗用車同士だとすれ違いが困難なため、道路沿いの歯科医院の駐車場や路地の交差点が一方の車の待機場所となっている。自宅の敷地に待機車が入らないよう、パイロンなど障害物を置いている家もある。
これほど狭い道にもかかわらず、渋滞する市街地を避ける東山山麓沿いの抜け道の一部となっていて、交通量が多い。制限速度は時速30キロに規制されているが、飛ばしていく車もあり、沿道の家の女性も「怖い」と話す。地元住民からは、約6キロ北にある国道254号の松本トンネルが令和2年9月に無料化されて以降、交通量が増えたとの指摘もある。
里山辺新井町会の多田健町会長(74)によると、5年ほど前、中学校の登下校時間帯に市道を一方通行にできないか松本警察署に相談したものの、地元住民の合意形成の困難さなどの問題があり、断念したという。
この市道の近くで本年度、里山辺を南北に貫く都市計画道路・出川浅間線の一部区間が着工した。薄川左岸の南小松交差点から、県道惣社岡田線に至る約970メートル区間で、架橋も含め令和10年度の完成を目指している。
出川浅間線が開通すれば抜け道利用は減ると期待されているが、市民タイムスに投稿を寄せた地元男性(74)は「人身事故が起きる前に一方通行化を再度提言するべきでは」と話している。