悩む子供早期発見に効果 塩尻市内小中学校「匿名相談アプリ」 実証期間中に3割利用

子供の悩みや不安の早期発見・早期支援を目指し、塩尻市が市内小中学校14校の全児童生徒約4600人に貸与しているタブレット端末機に入れた「匿名相談アプリ」について、実証期間中(昨年6~12月)の利用状況がまとまった。約3割の1410人が利用し、いじめや学校への行きづらさなどの悩みを抱える子供、自殺願望や自傷行為のある子供を把握した。学校や市教育委員会が支援対象と認識していなかった子供も148人認知、早期支援を始めた。
文字で会話をする形式で、子供が相談事を入力すると、市教委の「子と親の心の支援員」が確認して返信する。市教委事務局によると、実証期間中に延べ4万6292回の入力があった。匿名で悩みを打ち明けられる利点があり、全14校のいじめの認知件数は、前年度同期に比べて大幅に増加した。
延べ10回以上入力したのは644人(全体の13・7%)で、個人を特定できた643人のうち、友人や先生、クラス、心身、家庭、希死念慮(「死にたい」という思い)などに関する「気がかりな相談内容」をしたのは165人だった。このうち148人が未認知者で、74人は早期支援が必要だとして、相談入力後1週間以内に学校や関係機関と連携して対応した。
本年度は応談体制を強化する。実証期間は相談件数が想定を上回って返信に時間がかかったため、応談者の「子と親の心の支援員」を1人増やして4人にする。相談時間も見直す。
市学校教育課の小松義宏課長補佐は「SOSをため込んでいる子供たちをいかに発見して支援できるか」と課題を挙げる。教員たちの子供への日々の関わりと相談アプリの活用で、子供を注意深く見て、声を掛けるようにしたいとしている。