連載・特集

2024.4.4みすず野

 松本市出身で、5年前に84歳で亡くなった映画監督・降旗康男さんがメガホンを執った映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地となった北海道南富良野町の幾寅駅が、先月末で廃止されたと伝えられた◆平成11(1999)年に、高倉健さんの主演で公開。降旗さんはこの作品で日本アカデミー賞最優秀監督賞・同脚本賞を受賞した。録音を担当した紅谷愃一さんは、ほとんど駅長の長いコートを着ている高倉健さんの声を録音するため、ワイヤレスマイクをコートの内側に縫い付けたと明かす(『音が語る、日本映画の黄金時代』河出書房新社)◆紅谷さんは、監督としての降旗さんを「相変わらず穏やかな演出ぶりで、撮影中はロケ、セットを問わず、いつも立ったままで、椅子に座らないその姿には頭が下がりました。健さんとも長い付き合いですからお互いの信頼関係ができているのはよく分かり、多くを語る必要もなく、常に笑顔があり、やさしい監督はスタッフにも人気がありました」と語る。誠実な人柄が伝わる◆駅舎には、映画で使われた駅名「幌舞駅」の看板が今も残る。南富良野町は、駅を観光資源として残す計画だという。

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