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松本市新村のプチ送迎ボランティア 高齢者を支え1500回目に

運行1500回を祝う会員

 松本市新村地区の住民が、高齢者を医院や近隣のスーパーに送迎する「プチ送迎ボランティア」が21日、平成24(2012)年11月の運行開始から1500回目を迎えた。利用者と、運転者、賛同者が会員となり、交通弱者を助け合う活動で、延べ利用者数は3807人に上る。「地域の足」として定着する一方、運転者の高齢化などが課題となっている。

 現在の会員は利用者25人、運転者16人、賛同者34人で、それぞれが年会費2000円を負担する。新村の医院3カ所、梓川倭のデリシア、山形村のアイシティ21の計5カ所の目的地別に月1~4回運行。乗り合いで利用者宅から目的地まで送迎する。
 21日の1500回目は、花村医院に通う高齢者7人が利用した。降雨の中、運転者の関徳雄さん(63)は利用者の乗降時には、外に出て車のドアを開け丁寧に対応した。初めて利用した柳澤清実さん(85)は「家族から運転を心配されている。この活動があれば年をしても新村でやっていける」と話した。
 組織は、住民アンケートで交通手段に困っている人が多いことが分かり発足した。初代会長の上原哲郎さん(故人)が個人の車を提供、地区の役員らが運転者になり、始めた。
 町会補助や市の助成を受け、26年に5人乗り乗用車を購入。29年には総務省の「ふるさとづくり大賞」で大臣賞を受け、令和元年には運行回数1000回、会員115人になった。事務局長の原田裕さん(81)は「(住民が)前向きに協力してくれた。新村の良さだと思う」と振り返る。
 新型コロナウイルス禍で会費で活動を支援する賛同者が減少、運転者の高齢化も進む。原田さんは「運転者は1・3カ月に1回の活動なので、若い人や女性にも参加を呼び掛けたい」と語っている。