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ワサビ生産強化へ連携 安曇野の農業団体・行政がチーム発足 栽培技術向上・担い手確保へ

ワサビ生産の関係者が一堂に集まった初会合

 ワサビ生産量が全国1位を誇る県内の主力産地、安曇野市の生産振興へ、生産者団体と関係行政が「安曇野わさび産地強化プロジェクトチーム」を立ち上げた。市農政課に事務局を置き、栽培技術や病害虫防除、担い手確保、ブランド化に関わる取り組みを連携して進める。初会合をこのほど開き、現状の課題を共有しながら、今後の方向性を確認した。

 市農政課によると、栽培が行われている市内ほ場約43ヘクタール(平成29年度)のうち3割弱で「水が引かない」「腐敗する」など何らかの問題を抱えている。国内外でワサビの引き合いが高まる中、生産者の高齢化や後継者不足、湧水量の減少などで収量は低下傾向にあり、約7.5ヘクタール(同)が遊休田となっている現状を踏まえた。
 信州山葵農業協同組合や県野菜花き試験場、県松本農業農村支援センター、JAあづみ、市で構成する。会合には生産者約40人が参加した。同試験場が昨夏の現地調査で得た認識として「生産者個別の伝承技術で栽培に対応しており、生産技術の向上や統一化、情報共有が図られていない」などと課題を指摘。同プロジェクトに必要な対応案に、定期的なほ場巡回や目ぞろい会の実施、栽培管理のマニュアル化に向けた検討などを挙げた。
 合わせて、生育不良が昨夏見られたほ場で根部が腐る「軟腐病」と認めた調査結果の報告もした。同組合の望月秀文組合長(60)は「なぜうまく育たないのか、そんな個々の悩みと解決への専門知識を共有し合える新たな枠組みができた。生産者が互いに状況を知り合うことが産地強化の第一歩」と期待した。
 ブランド力強化へ品評会の充実や国内外需要喚起策も検討する。チーム長の北條敦・市農政課長は「現状と課題をまずはきちっと把握した上でできることから始め、産地の持続的な発展を目指す」としている。