政治・経済

麻績の枯損木を征矢野建材が発電に活用

枯損木の伐採作業が進められているアカマツ林(麻績村女渕)

 塩尻市片丘で木質バイオマス発電事業などを行う「信州F・パワープロジェクト」に関わる征矢野建材(松本市笹賀)が今冬から、麻績村内で、アカマツ林の枯損木を伐採して発電に利用する事業に乗り出した。県の補助金を活用し、伐採が進まないまま枯死して「白骨化」した状況が目立つアカマツ林の整備・再生に、これまで木材の受け入れが中心だった同社が主体的に取り組む。村の林業振興にも貢献したいという。

 同社の事業再建を支援する綿半ホールディングス(HD、東京都)の協力で、県が森林づくり県民税で進める「森林病害虫被害枯損木利活用事業補助金」を活用する。行政主体では整備が難しい民有林を中心に取り組む。
 第1弾として事業に協力する意思を示した女渕の民有林約3500平方メートルで今月から伐採・搬出をしてFパワーの事業用地へ運び、カラマツやスギ、広葉樹などへ樹種転換できるよう整備する。今回の実績を踏まえ、新年度以降も周辺地域の地権者に理解を求めて徐々に活動域を広げる方針だ。
 1日に伐採作業が始まった。仲介役を務める綿半の宮下雅人さん=麻績村=は「民有地は長野道下り線に面し整備の様子が大勢の人の目にも触れるインパクトは大きい」と話し「県や村、林業従事者と連携して地域住民の理解を広げたい。再生に向け森林経営計画の策定にもつながれば」と期待する。事業を担当する征矢野建材原木事業部の絹谷智樹さんは「松枯れしたアカマツ林を持続的に整備・再生するモデルケースとし、中信地域、そして全県へ拡大させたい」と願っていた。