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AIで彩色 古写真〝復元〟 上松町観光協会 昔の風景・行事 HPで紹介

AIを使った彩色作業を進めている古写真。彩色すると白黒よりも昔の風景が分かりやすくなる

 上松町観光協会は、町内で撮影された白黒の古写真を人工知能(AI)の力を借りて彩色し、仮想的に復元する試みを始めた。町や同協会などが所有する古写真をパソコンに取り込み、専用アプリを使って自動彩色した。同協会のホームページ(HP)で原本の古写真と並べて紹介している。


 とりわけ昭和25(1950)年に中心街を焼き尽くした「上松の大火」を乗り越え、林業で栄えてきた町のルーツを知る一助になることを願う。
 1回目は、伊勢神宮(三重県伊勢市)で20年に1度営まれる式年遷宮の次回を前に、昭和16年に町内で行われた第59回式年遷宮の関連行事の写真7枚を彩色した。同協会が所有する写真はがきを使い、森林鉄道に乗車する参列者の様子や、上松駅に御用材が到着する様子、人力で御用材が載った台車を引く様子などが臨場感あふれる一場面として鑑賞できる。
 2回目は、昭和12年に台ケ峰山腹から撮影された町中心街の写真の彩色復元が掲載された。街道や木曽森林鉄道の軌道が残る「上松の大火」前の町並みが一目で分かるようになった。
 技術支援に関わる町産業観光課の見浦崇係長は、「あくまで空想上の着色であり、完璧な現実ではない。白黒写真が持つ重要性も見失ってはいけない」と指摘しながら、「昔を想像する手がかりとして、上松に誇りを持つきっかけになれば」と期待している。