政治・経済

食肉公社の土地返還が難航 移転先決まらず JAなどが松本市に延長要請

県食肉公社の施設(島内)。JA県グループが土地返還の延期を市に要請した

 松本市が、松本クリーンセンター(島内)に代わる新ごみ処理施設を建設したいとして、近くの新施設候補地(市有地)に建つ食肉処理施設を運営する県食肉公社(JA全農長野子会社)に土地返還を求めている問題で、JA県グループと畜産生産者団体が29日、移転先が決まらないとして返還時期の延期を市に要請した。市は検討する考えを示したが、クリーンセンターの老朽化対応は待ったなしの状況で、難しい判断を迫られる。

 JA長野中央会の神農佳人会長、県酪農政治連盟の小松平一委員長など13人が市役所を訪れ、嵯峨宏一副市長に要請書を渡した。神農会長は「県の畜産物、消費者のために精力的にやってきたが、課題山積で候補地の進ちょくが図れない」とし、市が求める令和8年度末までの土地返還を延長し、新たな食肉処理施設が整備されるまで使用を継続できるように要請した。
 嵯峨副市長は、6年度末の期限を一度取り下げている経過に触れつつも「延ばせないかは真剣に受け止めて検討したい。期限はあるが、できるだけ要請に応えたい」とし、新ごみ処理施設をつくる4市村の松塩地区広域施設組合と精査するとした。
 移転候補地を巡っては県が昨夏、中南信の市町村に「検討できる用地」を再募集し、松本市は市内の複数カ所を提案。JA側は、取引業者や従業員のことを考えると近場への移転が望ましいとして、市が提案した場所への建設に向けた協力も今回の要請に入れた。これに対し嵯峨副市長は「もし適地であるのなら一生懸命やりたいが、どの土地も厳しい事情がある」とし、市外にも視野を広げて検討するようJA側に求めた。
 松本クリーンセンターの建て替えは令和15年を目標としている。組合側は「耐用年数を超え、(設備の不具合などで)ごみ処理できない万が一の事態があってはならない」とし早期の打開を求めている。