地域の話題

学び合いを反戦の一歩に 松本で18日「本読みデモ」

「本読みデモ」の実施に向けて準備する3人

 戦闘が続くパレスチナ自治区ガザの停戦を願って、松本市内の20~30代の若者有志が、学びを通して平和を希求する「本読みデモ」を計画している。関連の書物を街頭に並べて自由に閲覧してもらい、反戦の思いを静かに共有し合う場だ。命や暮らしが日々失われていく現実を前に「何か行動を起こしたい。でも声高にシュプレヒコールを唱えるのはハードルが高い」と企画。18日午後1~4時に松本駅前広場で開く。

 発起人はいずれも市内在住のアルバイト・江刺里花さん(29)、会社員・吉川成実さん(30)、自営業・澤谷映さん(36)。3人は友人同士だ。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が10月に始まって以降、パレスチナ問題を「これまで深く知ろうとしてこなかった自分」に向き合ってきたという。
 「何か行動ができないか」という吉川さんの相談に他の2人が賛同し、検討を始めたのは今月初め。ただ、二項対立のどちらかを支持する意思表示には抵抗があり、デモや街頭演説もハードルが高かった。そこで19世紀以降のシオニズム(ユダヤ人国家建国運動・思想)など、パレスチナ問題の背景を学ぶ中で感じた「知ること」「考えを深めること」「意見を交わすこと」の大切さを形に表し、多くの人と共有することにした。
 地域の教育者らの協力を得て参考文献を借り、当日広場に並べるほか、手持ちの本がある人には持ち寄ってもらう。静かに読むもよし、本を介して意見交換するもよし。過ごし方は自由だ。「小さな視点のヒント集」と題してジャーナリストや研究者らの言葉を紹介するチラシも作り、来場者に配布する。
 吉川さんは「一人一人の力は小さくても無力ではない」。3人は「多くの人が目を向け続けることが、暴力への抑止力となるように」と話している。