政治・経済

1人暮らしの緊急通報増加 松本市が装置貸し出し 運用拡大へ

対象の1人暮らし世帯に設置される緊急通報装置

 松本市が65歳以上と障害者の1人暮らし世帯を対象に、希望を募って設置している「緊急通報装置」の昨年度の通報件数は289回で、過去4年で最も多かったことが市高齢福祉課のまとめで分かった。通報のうち、実際に病院などに緊急搬送されたのは23件で、これも最多だった。急病の発見など市は装置に一定の効果があるとし、来年度からは固定電話回線を持たない世帯向けにも、専用の通信回線で設置できるよう運用を拡大する。

 緊急通報装置は平成26(2014)年度から市が運用している有料サービスで、専用機器を対象の1人暮らし世帯に貸し出す。機器の緊急ボタンが押されたり、宅内の人感センサーが24時間人の動きを感知しなかったりした場合、警備員が駆けつける。
 装置の設置台数は平成31年度(令和元年度)から減少傾向にあるが、通報件数は年々増えている。本年度は8月末現在、356件の設置台数に対して124回の通報があった。このうち緊急搬送を伴ったのは14回で、暑さが厳しかった7月は4件、8月は5件に上った。市高齢福祉課によると、夏と冬に通報が増える傾向がある。
 来年度は、固定電話回線(月額利用料600円)に加え、専用通信回線(同1200円)も導入する。利用料は専用通信回線の方が高いが、基本料金が必要な固定電話回線を契約する必要がないため、月々の負担額は抑えられる。同課は「携帯電話しか持たない人が増えている。来年度に始まる新たな運用方法を多くの人に知ってほしい」と話している。

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