バイオ燃料で観光バス走行 乗鞍高原で県内初実験

燃料事業などのヤマサ(松本市笹賀)やアルピコ交通(同市井川城2)などは1日、乗鞍高原で、廃食用油などを原料にした次世代型バイオ燃料「リニューアブルディーゼル」(RD)で観光バスを走らせる実験を行った。同燃料を使ったバスの走行は県内初で、通常の軽油と比べて二酸化炭素の排出を9割削減できる。乗用車に比べて動力の電化や水素化が難しいとされる大型車や重機に導入され、地域の脱炭素化につながることが期待されている。
普段は軽油で走っている観光バスを使い、乗鞍観光センターと、乗鞍岳の畳平(標高約2700メートル)までのエコーラインを往復した。RDはほぼ無色で、すすや排ガス臭が発生しないことも特長となっていて、バスで畳平に向かった関係者は乗車前に排ガスのにおいを確かめていた。
RDは価格が軽油の3~4倍と高価だが、通常のディーゼル車で使用することができ、導入時の設備投資を抑えることができるメリットがある。県内でRDの供給網の構築を計画するヤマサの北爪寛孝社長は「松本はゼロカーボンの取り組みが進んでおり、ニーズも高いとみている。企業への提案を本格化させたい」と話す。
乗鞍岳に続く長野県と岐阜県のマイカー規制道路を合わせた名称「乗鞍ライチョウルート」が定められて丸2年が経過したことを記念して1日は、バスの試走を含めさまざまな催しが行われた。のりくら観光協会の宮下了一会長は「乗鞍の今の環境をこの先も維持することが地域の大きなテーマ。環境に優しい燃料で走る車が増えることを期待したい」と話していた。