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自転車の安全走行支援 県ケ丘高の水谷さんがアプリ開発

自転車の安全走行につなげるアプリ開発に取り組む水谷さん

 安曇野市豊科高家の松本県ケ丘高校1年・水谷俊介さん(15)が、自転車の安全走行を助けるアプリケーション開発を進めている。自らの自転車事故体験を動機に独学で着手。交通安全意識を促す一部機能についてはこのほど、特許権を取得した。行動範囲が広がる小学校高学年を主な利用層に想定し、高校在学中にも一般公開を試みたい考えだ。

 出合い頭の事故に遭う可能性がある交差点を、危険箇所情報としてデータ化してアプリに反映させ、実際にその交差点にさしかかると、音で注意喚起する基本機能を設計した。GPS(衛星利用測位システム)で移動速度を検知し、減速も呼び掛けるシステムだ。
 特許権を取得したのは、安全運転の走行スコアに応じ「交通安全クイズ」が楽しめるコンテンツを表示する機能。「事故防止へ親子の対話を生む仕掛けが必要」と考え追加設計した。出願申請を支援した大行尚哉弁理士(松本市城東2)は「中学生(申請当時)の出願は珍しく、発想も素晴らしい」と感嘆する。
 小学5年生の時、習い事から帰る途中に転び、前歯を折る大けがをした。前年に通い始めたプログラミング教室での知識を生かし開発を始め、全国的に多い自転車事故の型も調べた。在学した信州大学付属松本小学校と自宅各周辺2~3キロ圏で、アプリの有効性を確かめるモニター試験を重ねた。
 一般社団法人未踏(東京)が運営する、17歳以下の独創的アイデアを支援する令和3年度プログラム「未踏ジュニア」で、上限50万円を資金援助するプロジェクトに採択され、開発費用をまかなった。未踏がブース出展した、持続可能社会の実現を目指すイベント「SDGs AICHI EXPO」に参加もして、開発ニーズを探った。
 公開を目指すアプリは、利用者がスマートフォンにダウンロードし、身近な危険箇所を登録設定してかばんに入れたまま使う想定。水谷さんは「児童がスマホを持つ問題点など実用課題は多い」と認識するが「家庭の安全教育に役立つツールを作りたい。自分のように怖い思いをする人が減るように」と話す。

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