自然写真公募展の田淵行男賞が決定 最高賞に中野陽介さん

安曇野市は24日、山岳、動植物の生態、自然環境がテーマの組み写真を対象に9年ぶりに行った公募展・第7回田淵行男賞(実行委員会主催)の受賞作品を発表した。「一般の部」の最高賞・田淵行男賞に中野陽介さん=福島県南会津郡只見町=の20枚組作品が選ばれた。初めて設けたジュニア賞では最高賞の市長賞に矢花沙織さん=安曇野市=の3枚組作品が決まった。
5~20枚の組み写真が対象の一般の部は全国の62人から75点の応募があり、五つの賞に各1点の計5点が入賞した。3枚の組み写真と15歳以下が対象のジュニア賞は安曇野市と松本市の8人から22点の応募があり、市長賞1点と特別賞2点の計3点が選ばれた。
受賞作品展が8月5日~11日に安曇野市穂高交流学習センター・みらいで行われ、10日に表彰式を予定する。ニコンプラザ東京と同大阪を巡回し、10月から豊科南穂高の田淵行男記念館で開催される。
選考委員長を務めた写真評論家・飯沢耕太郎さんは「ジュニア賞も含めて力作、意欲作が多数寄せられ、いい作品を選ぶことができた」と総評した。
中野さんの作品「雪と共に生きる~雪国・只見町の自然と人の暮らし」は、モノクロ作品として初めて田淵賞を受けた。「自然環境と人間の営みの両者を融合させた視点もこれまでにないものだった」と評価された。野鳥が昆虫を補食する瞬間を捉えた矢花さんの作品「鳥に食べられる昆虫達」は、「どれも生物学視点で見て興味深い写真」などと高い評価を受けた。
公募展は、昆虫生態研究家で自然写真家の田淵行男(1905~89)にちなみ、新人写真家の発掘などを目的におおむね5年に1回行われている。第6回は新型コロナウイルス禍で中止になった。今回は市制施行20周年と田淵の生誕120年を記念して開催し、昨年12月~今年2月に作品を全国公募した。
受賞者は次の皆さん。
◇一般の部▽田淵行男賞=中野陽介(福島県南会津郡只見町)▽フォトコン賞=武並完治(岡山県新見市)▽岳人賞=竹下光士(京都市)▽山と渓谷賞=茂野優太(静岡県沼津市)BIRDER賞=高橋広平(安曇野市)◇ジュニア賞▽市長賞=矢花沙織(安曇野市)▽特別賞=中村啓汰(松本市)、伊東航太(安曇野市)