2025.4.22 みすず野
一人暮らしのマンションの自室で、本が積み上がり半開きにしかならない風呂場のドアを開け、半身ほど入った途端に背を押されるような感覚があって中に入り、本が崩れる音が響いた。評論家の草森紳一さんは、こうして風呂場に閉じ込められた◆2LDKのマンションで全く本がない唯一の場所が浴室。「廊下の端から風呂場の入口まで、しかも肩ぐらいの高さにまで、本は積み上がって、長い一列をなしている」(『随筆本が崩れる』文春新書)◆マンションには「ドアを強く叩いても、大声で叫んでみても、出てきてくれるような人間は、誰も住んでいない」という生き方をしてきた。脱出方法をしばらく考え、湯かき棒を駆使して20センチほど隙間をつくりそこに体を入れ痛みに耐えて脱出。崩れ落ちた本の山の写真を見ると怖くなる◆18日夜に震度5弱を観測した地震で職場の机上に積み上げた本が落ち、背にしている隙間がないほど詰め込んだ本棚から何冊も飛び出た。惨状だったようだが、退社後だったので同僚が片づけてくれた。引っ越しなどで本を詰めた段ボール箱を運ぶと、その重さに驚く。適切な収納の重要性を実感する。