アニメ「エヴァ」の世界 ジオラマで忠実に再現 塩尻市交流文化部長・胡桃さん

塩尻市の交流文化部長・胡桃慶三さん(60)=広丘吉田=が、初めて自作したジオラマ(立体情景模型)を市民交流センター・えんぱーくに展示している。1級建築士の資格を持つ胡桃さんが、熱烈なファンであるアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に登場する集落で、実在の旧鉄道車両基地を縮尺100分の1で忠実に再現した。
ジオラマにしたのは浜松市にある天竜浜名湖線の天竜二俣駅で、蒸気機関車の車両の方向を変える装置「転車台」が残る風景だ。国の登録有形文化財になっている。この駅をモデルにした集落「第3村」が映画冒頭に登場する。
60センチ四方の大きさの中に、車両の格納や修理点検設備の扇形車庫など建物が幾つか並ぶ。材料の大半は紙で、アルミホイルも使った。転車台の正円は、既存の鉄道模型のレールの枕木をばらして作り、クレーンの手すりはホチキスの針を引き伸ばして作った。ブラシで汚し塗装をし経年劣化や立体感を出している。「どうすれば表現できるか」をよく考えた。
制作期間は令和3年4月~4年6月の14カ月。映画のワンシーンに昭和の懐かしさを感じ「ジオラマにできたらすてきだ」と思い取り組んだ。新型コロナウイルス禍だったためインターネットで画像資料を収集、その後現地を確認し詳細な図面を引いた。令和4年の「浜松ジオラマグランプリ」にも出品した。
胡桃さんは幼少期からバイクや車のプラモデル作りに親しんだ。池田工業高校(池田町)卒業後に東京都内の専門学校の建築設計科で2年学び、設計事務所や総合建設工事会社の勤務を経て、平成15(2003)年に市職員になった。生涯学習を長く担当し、今月末で役職定年を迎える。
交流文化部が所管するえんぱーくが大規模改修工事を終えたことから展示を決め、市立図書館が所蔵するジオラマ関連書籍も併せて並ぶ。胡桃さんは「展示できてうれしい。自分で考えたことが形になって残る、ゼロから作る楽しさを知ってほしい」と話す。展示は4月27日まで。