安曇野市の農家民宿 需要が回復 コロナ禍で協議会員減少 受け入れ体制追いつかず

国内外から教育旅行を受け入れ、農家に泊まる体験を提供する安曇野市農家民宿連絡協議会が、平成27(2015)年4月に発足して10年がたった。これまでに5000人近い生徒を受け入れ、安曇野ファン獲得に貢献している。新型コロナウイルス禍を経て回復する需要に受け入れ体制が追いつかないのが現状で、会員の裾野拡大が求められている。
都会の中学生らが農作業や夕飯作りを農家と一緒に行い、自然と触れ合いながら田舎暮らしを味わう。2年目の28年度には受け入れ人数が1000人を超え、翌年度に海外校の受け入れも開始。令和元年度には過去最多の1334人、会員数は73軒と発足当初の35軒から倍増した。
安曇野は果樹作業や野菜の収穫、まき割りなど体験が多彩で、協議会の講習も充実し安心感が大きいとの評価があるようだ。別れ際に涙したり農家と抱き合ったりする生徒もいるという。「田舎のおばあちゃんの家」をコンセプトにする小山田桂子会長(73)=穂高北穂高=は「楽しかった、もう1泊したいと言う生徒の言葉がやりがい。元気をもらえる」と話す。
協議会はコロナ禍で3年間活動を休止し状況が変わりつつある。高齢化や各家庭の事情で会員が減少に転じ、昨年度末は48軒。実稼働の農家はさらに少ない。一方、学校によっては180人規模の「大口」の申し込みが増え、受け入れ農家が足りずに断るケースも出てきた。現在は上限を120人に設定する。
小山田会長は「需要は多いのに受け入れがままならない。農家民宿の楽しさを地元の人たちにもっとアピールしていきたい」と話している。問い合わせは、協議会事務局の市農政課(℡0263・71・2430)へ。