「大桑焼」新しい窯で発信 元協力隊・奥野さん 村拠点に創作励む

大桑村の陶芸家・奥野宏さん(40)=長野=が、村内に作品制作用のまき窯を設けた。奥野さんは3月まで約5年間、村の地域おこし協力隊として活動し、地域の土を使った焼き物制作などで魅力発信や芸術振興に取り組んできた。新しい窯で表現の幅を広げながら、引き続き村を拠点に創作に励んでいく。 窯があるのは、奥野さんが古民家を改修して整備する殿の文化スペース「la mora」(ラ・モラ)の敷地内。れんが造りで、奈良県の職人に制作を依頼した。2月末に完成し、4月12日に初めて火を入れた。知人の協力も受けて5日間、地域の木を火にくべ、土人形や器など約30点を焼成した。
これまではガスや灯油を燃料に作品を焼いており、まきを使った本格的な創作は今回が初めて。「灰をかぶるなどして作品にいろいろな表情が出る。村の土と相性も良さそう」とうなずく。
奥野さんは岐阜県出身で、メキシコで10年ほど陶芸家として活動した。長女の誕生を機に日本での活動場所を探し、令和2年度に大桑村が初採用した協力隊3人のうちの1人として移住・着任した。
任期中は村の土を使った作品を「大桑焼」と名付け、村内外に発信。土人形などによる大作が、令和4年度の第26回岡本太郎現代芸術賞で、600点近い応募作の中から入選23点の一つに選ばれた。木曽を拠点とする芸術グループ・GR19(ギャラクシー・ルート・ナインティーン)のメンバーとして、ラ・モラで展覧会も開いている。
これまでの活動に手応えを見せ、「村で過ごす中で生まれた大桑焼など、手にした表現を続け、広げていきたい」と見据える。ラ・モラの整備も本年度中に済ませ、文化の交流・発信の場にしたい考えだ。
まき用の木材を探しており、連絡は奥野さん(電話090・4196・7395)へ。