武田勝頼が奉納した小野神社の梵鐘 山梨県立博物館の特別展で展示

塩尻市北小野の小野神社が所蔵する市有形文化財で、室町時代の永禄7(1564)年に、一帯を治めていた戦国武将で、武田信玄の子・勝頼が奉納した梵鐘(釣り鐘)が、山梨県笛吹市の山梨県立博物館に貸し出されている。同館で行われている勝頼がテーマの特別展の会場に、武田の家督を継ぐまでの時代を象徴する品として展示されている。
昨年春、同館から貸し出しの打診を受け、応じることを決めた。境内にある資料館の宮﨑敏孝館長は「信州二之宮小野神社の存在と、境内に資料館があることを、できるだけ多くの人たちに知ってもらいたい」と期待する。
高さ91センチ、直径56センチの青銅製で、通常は境内の資料館に展示している。銘文には、高遠領の郡司であることを示すとみられる「郡主神勝頼」、一帯を治めた諏訪氏の当主であることを示す「諏方四郎神勝頼」の文字がある。
同博物館の学芸員・海老沼真治さんは「勝頼の高遠時代の活動を示す文化財の展示を考えた。梵鐘は勝頼が奉納したと知られており、展示に欠かすことができないと考えた」と説明する。
小野神社の「参観のしおり」は梵鐘が、室町時代の鐘としては出来栄えが優れていると説明している。一部に見られる摩滅や破損の理由として、雨乞いのために霧訪山で打ち鳴らした帰りに山頂から転がし落としたことや、明治初年の神仏分離の影響を挙げる。
伝承は地域の人たちに代々、受け継がれてきた。氏子総代会会計の赤羽修さんは「幼い頃、小野神社に宝があると教えられた。山梨県立博物館には展示のメインだと説明されており、誇りに思う」と話す。
山梨県立博物館の開館20周年記念特別展「日本に隠れなき弓取・武田勝頼」は5月6日まで。