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一時停止は2回止まろう 松本道路交通考・第4部④ 交差点の確認しっかりと

 車の運転中は交差点での安全確認が交通事故防止の鍵となる。特に信号機のない交差点では標識に従ってきちんと一時停止したり、十分に減速したりする心構えが必要だ。

 見通しの良い田園地帯の交差点にも危険が潜んでいる。運転中に、前方で交差する左右の道路から接近してくる車が一向に減速せず、不安に感じた経験のあるドライバーは多いだろう。
 松本市波田のスイカ畑が広がる県道と市道の交差点でも、頻繁に車同士が出合い頭でぶつかる事故が起きている。県道側に一時停止の標識があるが、市道側を接近してくる車がないと、減速はするもののきちんと止まらずに通過していく車がよく見られる。
 こうした交差点での事故原因の一つとされるのが「コリジョンコース現象」だ。「コリジョン」とは英語で「衝突」という意味で、前方の交差点に向かって車を運転中のドライバーが、左右の道路から近づいてくる他の車の位置を誤認して交差点で衝突してしまうことを指す。2台の車のスピードがほぼ同じ場合、相手の車が常に視野の同じ角度に位置し、接近していると認知できずに衝突するとされる。これを防ぐにはしっかりと一時停止し、首を振って目視で安全確認をすることが重要になる。
 一方、狭い道路が多い松本市の中心市街地では建物に阻まれて見通しの悪い交差点が多い。そのため、停止線でしっかり止まらず、運転席から左右の状況が見える位置まで出て止まる「ずるずる停止」をする車が少なくない。
 大手1の幹線道路(通称こまくさ道路)に狭い市道が突き当たる小さな丁字路交差点は、JR北松本駅方面からの抜け道となっている。こまくさ道路に出る際は左右の視界が効かず、大半の車がボンネット部分を歩道に突き出す形で一時停止する。
 歩道側から見ると建物の間から突然車が現れるため、歩行者や自転車の利用者には大きな脅威だ。中には驚いて立ち止まる人もいる。歩道は登下校の高校生など人通りが多く、近くの店舗の女性店主は「いつもヒヤヒヤして見ている」と危機感を強めている。
 日本自動車連盟(JAF)は、こうした見通しの悪い交差点では「多段階停止」の実践を呼び掛けている。①停止線で一時停止②車の先端を少し出して停止(体を乗り出して左右を確認)③さらに目視できる位置まで出て停止し、発進前に再度左右を確認する―という方法だ。少なくとも2回はきちんと止まりたい。松本市の武井厚志自転車推進課長は「まずは停止線でしっかり止まり、目視で安全確認を」と話している。