塩尻・丘中の生徒が37年前に制作した地下道壁画を絵本に 指導した中村さんら有志がCF

昭和63(1988)年に塩尻市の丘中学校の生徒約80人が制作した、同市広丘吉田の国道19号の地下道にある壁画「ふるさと」を絵本にしようと、当時の美術教諭ら有志がインターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。支援金で絵本制作や壁画の保存管理を行い、後世に伝えたいとしている。目標金額は200万円で、募集終了は5月31日となっている。
壁画は国土交通省から「地下道を明るくする絵を描いてほしい」との依頼を受けて、美術部の生徒が中心となって約4カ月がかりで制作した。縦90センチ、横1.8メートルの絵を横に約100枚つなげて飾られている。塩尻市に関係する伝説や自然など七つのテーマで描かれていて、絵巻物のように歩きながら見て楽しめる。現在でも絵の状態は良好だ。
ただ、制作から月日がたち忘れられてしまっていることから、同校の美術教諭として制作を指導した画家の中村石浄さん(87)=松本市岡田下岡田=が「壁画を多くの人に知ってほしい」と絵本を作ることにした。A5横変形判の80ページで、壁画の絵に合わせた中村さん自作の物語や、郷土の短歌や詩を添える。
中村さんは「生徒たちが何のてらいもなく描いてくれた。伸び盛りの中学生には体を張って汗を流す機会が必要」と話し、壁画を見た人が、この大作を描き上げた中学生のエネルギーに触れることに期待する。
壁画にも描かれている、安曇野市の碌山美術館の名物事務員だった横山拓衛さん(故人)作の童話『なまくら観音』の全文も巻末に掲載する。中村さんは横山さんと親交があり、この物語で描かれた「人としての献身的な生き方」に強く共感していて、壁画と併せて知ってほしいと願っている。
CFサイトの「CAMPFIRE」で、「壁画ふるさと」で検索すると詳細が分かる。絵本は7月に完成する予定で、1冊1300円。出版社のプラルト(電話0263・28・8000)で購入予約も受け付けている。