臥雲松本市長が再選から1年 子育て・女性登用で成果 合意形成「強引さ」指摘も

松本市の臥雲義尚市長が2期目の任期に入って1年が過ぎた。477票の僅差で再選を果たした臥雲市長は「共感と納得」を掲げ、子育て支援の充実や女性管理職の比率3割を達成するなど一定の成果を示した。一方、全会一致が通例だった市議会の人事案で不同意者が出るなど、丁寧な合意形成を求める声がある。大型商業施設が相次いで閉店した中心市街地の活性化、市役所新庁舎の建設といった諸課題にどう道筋をつけるのか、合意形成の手法が問われる。
臥雲市長が「一丁目一番地」に掲げる子ども・教育分野の公約達成度は高い。18歳以下の医療費無償化や、不登校児童へのオンライン学習支援といった施策は再選後、時間を置かずに具体化し、子育て世代から一定の評価を得ている。子供3人を育てる寿豊丘の女性(36)は「物価高で生活苦なので、3歳未満児の保育料を多子世帯で無償化する施策は助かる」と喜ぶ。
一方で、合意形成の手法に疑問を示す声は根強い。注目された女性副市長の起用は伊佐治裕子氏の就任で実現したが、市議会に提出された人事案は全会一致とはならなかった。ある市議は「目的を達成するために手段を選ばない強引な手法が垣間見えた」と批判。市役所新庁舎の分散型構想などを巡って市議会と対立する場面が目立った1期目とさほど変わらないとみる。
そういった声に対し、臥雲市長は「政局ではなく、政策を判断してほしい」と述べる。伊佐治氏については、市職員・教育長時代の仕事ぶり、実績は市議の中で理解されているとの思いがある。
市幹部の一人は「市長は人の意見を聞く姿勢が見られるようになった」と、再選後の姿勢の変化を感じる。その上で「市長の考えを市民や議会に理解してもらえるよう、市長自身がもっと柔軟な態度で接し、理解を求めていく必要がある」と話している。