政治・経済

塩尻市が国際交通安全学会賞 自動運転とテレワークの先駆的な取り組み評価

国際交通学会から業績部門で表彰を受けた塩尻市

 塩尻市は、自動運転を中心とした地域交通DX(デジタル変革)と連携する自営型テレワーク推進事業「KADO(カドー)」の取り組みが先駆的で地方都市のモデルになり得るとして、公益財団法人・国際交通安全学会(東京都)に表彰された。自動運転は社会実装に向けて取り組みの最中だが、官民が連携して共創体制を構築している点が評価された。
 第46回国際交通安全学会賞の「業績部門」に、札幌市でシェアサイクル事業に取り組む認定NPO法人・ポロクルとともに選ばれた。11日に東京都内で贈呈式があり、百瀬敬市長や市先端産業振興室の職員が出席。「官民共創と地方創生テレワークが最先端の地域モビリティを実現する」と題して事業を説明した。
 市は本年度の実用化を目指して令和2年度から多くの民間事業者と実証事業に取り組んできた。昨年度には、特定の条件下で運転手がいなくても一般公道を走行可能とする「自動運転レベル4」が認められた。市振興公社のテレワーク部門・KADOでは、ワーカー(働き手)である個人事業主が、自動運転に使う高精度3次元地図の作成を行うほか、AI活用型オンデマンドバス(のるーと塩尻)の予約管理を担う。自動運転に関しては5月からの一定期間で定常運行を実施する計画だ。
 学会の選考報告で、限られた自治体職員での取り組みは「特筆すべき特徴」と評価され、最先端技術に市民が関わるKADOの仕組みは「多くの地方都市にも適用でき、今後の自治体運営に大きな変革をもたらす」とされた。百瀬市長は「受賞は光栄。市民が参加する点で評価された。早く実装できるようにし、安心安全なまちをつくっていきたい」と話した。
 学会賞は昨年度、次世代型路面電車で低床式車両を用いた軌道形交通システム「LRT」を導入した宇都宮市などが受けている。