普選運動の始まり学ぶ 法制定100年 発祥地の松本で連続講座

25歳以上の男性に選挙権が与えられた「普通選挙法」が制定されて100年の節目に、普通選挙運動発祥地の松本市で「なぜ松本で普選運動がおきたのか」を学ぶ講演会が13日、松本市立博物館で始まった。市民による歴史のボランティアガイド「あゆみの会」が、当時の人たちがどんな思いで活動していたかを学んでほしいと企画した。初回は市民約60人が熱心に耳を傾けた。
元高校教諭の桜井政男さん(78)=松本市今井=が講師を務めた。松本市出身の木下尚江らが普選運動を始める前までの松本平の状況をエピソードを交えて語った。
桜井さんは、明治13(1880)年に安曇野市穂高出身の松沢求策や松本市今井出身の上條ありじらが「国会開設ヲ請願スルノ書」を元老院に提出した経緯などを解説した。国会開設を求める全国的な団体政治組織「国会期成同盟」の呼び掛けに応じたものとし、「松本市内の南深志町の青龍寺で結成大会が行われた。徹夜で討論をし、国に嘆願書を出そうとまとまり、2万人の総代として選ばれたのは25歳の求策と21歳のありじ。この若さで選ばれた求策は短刀を持ち、相当の覚悟で旅立ったといわれている」などと話した。
企画したあゆみの会の元中学校教諭の佐藤喜久雄さん(78)=松本市島立=は「若者の投票率が低くなり関心が薄まる今、先人の思いを見直し、選挙の意義を考えていきたい」と語る。聴講した美斉津陽子さん=塩尻市=は「政治に参加していくために、必死に切り開いてきた先人たちに勇気をもらえる」と話していた。
第2回(5月17日)は「中村太八郎(山形村出身)と木下尚江の活躍」、第3回(6月15日)は「中村太八郎の上京と木下尚江の小説」をテーマに桜井さんが語る。フィールドワークも開催する。