塩尻・漆芸学院 学びの裾野広く 聴講生受け入れ16人入校

塩尻市木曽平沢の市木曽高等漆芸学院の昨年度修了式と本年度入校式が11日、学院で開かれた。本年度から「木曽漆器産業に就労している」などの入校資格がある人以外も、聴講生として受け入れる。例年の入校者は数人だが、本年度は大幅に多い16人が入校した。
修了生に修了証書を渡し、入校生は全員を紹介した。修了生の武田和美さん(45)=大門七区=は講師の指導に感謝しつつ「なお一層努力し、教えに恥じない製品作りができるよう頑張る」と謝辞を述べた。入校生を代表して川北恭世知さん(25)=木曽平沢=は「木曽漆器の伝統技法や漆工技術の基礎をしっかりと身に付ける」と宣誓した。
学院を運営する木曽漆器工業協同組合の小林広幸理事長(学院長)は修了生に「修了はゴールではない。これから新たな挑戦が始まる」と述べ、さらなる技術向上を促した。入校生には「木曽漆器業界を未来につなげていただくよう願う」と期待感を示した。
研修実技は漆工を学べる「工芸系漆器科」、沈金か蒔絵を修める「デザイン系工業デザイン科」がある。講師は産地内の木曽漆器伝統工芸士らが担当する。2年間にわたり、年間320時間の講義を夜間に行う。
聴講生は、通常の訓練生と同じ内容を学べる。地元の人たちとの交流を通じた産地への定着や、技術を得た人たちが増えることによる木曽漆器の情報発信に期待する。組合の武井祥司事務局長は「木曽漆器という日本文化の伝承につながれば」と話していた。